お灸について歴史をみてみると、『奥の細道』(松尾芭蕉)の一文で「ももひきの破れをつづり、傘の緒つけかえて、三里に灸すうるより、松島の月まづ心にかかりて…」とでてきます。三里というのは、【足三里】というツボでこのツボにお灸をすえながら旅をしている様が書かれています。【足三里】は、足の疲労回復や胃腸の調子を整える作用があり、ツボの代名詞の一つとして広く知られていました。
足三里のある場所は、膝の皿の外側のくぼみから指4本分下がったところ、すねのふちにあります。解剖学では、前脛骨筋上にあります。前脛骨筋は、足首を上下させ歩行の際ににとても重要な筋肉です。この筋肉の機能が障害されると足首が下垂する状態になり、歩行においてもつま先が地面に着かないよう足を高く挙げる歩容(鶏歩)がみられます。
私も週に何度か足三里にお灸をしています。もともとが胃腸が弱い日本人をやっておりますので、お灸をひねる感覚を確かめるのと合わせて一石二鳥で調度良いんです。さて、お灸なんて熱いわ、怖いわ、という方にお伝えしたいとしたいと思います。まず、お灸のすえ方の技術で適した熱感に調節していきます。また、皮膚ともぐさの間にびわの葉や生姜などを置く隔物灸というものがございます。ご興味のある方は是非お尋ねください。そして、お灸を受けていて私が醍醐味と感じている感覚があります。言葉で表現するのが難しいのですが、すえたその場所である程度の熱感を感じた後、しゅんしゅんしゅん~とまさしく身体に何かがつたっていくような…走っていくとでもいいますか、そういった感覚を味わえるときがあるのです。なかなか少ないのですが(;´∀`)今後、特に灸治療の対象についてお話ししていければと思っています。(絵:ボディ・ナビゲーション[医道の日本社]より引用)