こんにちは、健康心理アドバイザーの酒井悠次です。
今年の3月に行われた野球の世界一を決める祭典、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)
。侍ジャパンこと日本代表は、3大会ぶりの優勝を果たしました。
私は小学校の頃からサッカーをしていたせいか、スポーツが好きなので大会中はワクワクしながら観ていましたね。
やはり大谷翔平選手は凄かったですし、個人的には準決勝メキシコ戦での吉田正尚選手のホームランが最も興奮しました。また私は巨人ファンですので、決勝戦の岡本和真選手のホームランは嬉しかったですね。
そんな一流選手たちを率いて見事、侍ジャパンを優勝に導いたのが栗山英樹監督です。
栗山監督は北海道日本ハムファイターズの監督時代にはリーグ優勝2回、日本シリーズでは1回の優勝をしている名将です。そして大谷選手の日本ハム時代の恩師でもあります。今の大谷選手の二刀流があるのも栗山監督の存在が大きかったと思います。
そんな栗山監督ですが、自分を育てるうえで欠かさなかった習慣が読書、とくに古典を読むことだそうです。また偉人の格言や古典の言葉をノートにも記しているのだそうです。
そのノートには、
「小善は大悪に似たり。大善は非常に似たり(稲森和夫)」
「一国は一人を以って興り、一人を以って亡ぶ(蘇洵)『菅仲論』」
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし(松浦静山)『剣談』」
といった言葉をつけているそうです。やはり古典ですので言葉の意味を理解するのは難しいですよね。
実際、栗山監督も「20年経ってようやく意味が分かった言葉もあるし、いまだに理解できていない言葉もある。一生、勉強です。」と話されています。
栗山監督は、選手の力を引き出すのは能力や権威、正しさではなく 「人徳」だと言います。
そうした栗山監督が目指す監督像にノートに書き記した一つ一つの言葉が栗山監督の人徳を養い、侍ジャパンを世界一へと導いた要因になったのではないでしょうか。
イギリスの第71代首相、マーガレット・サッチャー氏は、
『考えは言葉となり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格は運命となる。』という言葉を残しています。
自分の考えを表すのが言葉となり、その言葉が行動、習慣となって人格、運命を作り出すという意味です。
心理学では自分が思っていることが現実化することを自己成就予言と言いますが、思考を表現する言葉は自分が思い描く未来、理想の自分を作るうえで大きな武器となります。
WBCの決勝戦、優勝をかけてアメリカ戦に立ち向かう前、大谷選手は「今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」とチームメイトを鼓舞しました。
やはり憧れが強すぎると相手に呑み込まれてしまいます。
そうではなく自分たちこそが世界一にふさわしいチームだという思いを込めて大谷選手はこのような言葉をかけたのだと思います。
ぜひ、皆さんも自分が普段、どういう言葉を使っているのか。またどんな言葉に反応するのか。少し意識を向けてみて下さい。栗山監督のようにノートにつけるのも良いですね。
そうした言葉の一つ一つが行動や習慣、人格を磨き、やがては自分が思い描く未来を作りだすかも知れませんよ。
参考文献
『PRESIDENTプレジデント-人生後半を変えるノート-』(61歳で世界一、栗山英樹監督のノート大公開!「自分を育てる言葉、人を育てる言葉」)16-23頁 2023年9/15号 プレジデント社