こんにちは、健康心理アドバイザーの酒井悠次です。
「最近、なんだか気分が乗らない」「頭の中がゴチャゴチャしてイライラする」といったことはありませんか。
そんな時ににおすすめなのが部屋の片づけです。というのも部屋の汚れは心の汚れという言葉もある通り、部屋の状態は自分の心にも影響します。
たとえば、部屋の中が服や本、ゴミ等で溢れかえる、いわゆる汚部屋だとすれば当然、自分の心理状態にも良くありません。物で溢れかえり、乱雑した部屋では必要な物を探すのにも苦労するのでストレスも溜まります。また、衛生の面でも健康に良くありませんよね。なので部屋の片づけをすることは、きっと良い気分転換になるはずです。
とはいっても「片づけが苦手、面倒くさい」という方もおられると思います。私自身、昔から片づけをするのが苦手でした。その上、本が好きなので部屋のスペースがいつも本で埋まった状態です。流石にこのままではダメだと思っていても、なかなか腰が上がりません。
そんな時、『幸福優位7つの法則』の著者でポジティブ心理学者のショーン・エイカー氏がある大学生にアドバイスした内容がとても参考になったので皆さんにシェアしたいと思います。
■小さな成功の円を作り出し、少しずつ達成範囲を広げていく
大学生ジョーイの部屋はピザの空箱、空き瓶、新聞紙や本などの物で溢れてしまい、消防署から出火元になる懸念や緊急の際には脱出できないと指摘されるほどでした。そこでエイカー氏は次のようにアドバイスします。
机の上に書類が積み上げてある小さな一画を見つけ、書類の外側に直径30㎝ほどの円を描き、まずはこの一画を片づけてもらい、それ以降は絶対に物を置かないように指示しました。そして毎日、別の一画を選んでは同じことを行うように繰り返したところ、わずか2週間で部屋全体が驚くほど片づいたそうです。
まずは、ほんの小さなスペースをキレイにすることから始めて、やがてそれが部屋全体へと波及したのです。エイカー氏は言います。
「小さな成功が積み重なれば、大きな成果につながる。それにはまず、砂の上に最初の円を描くことから始めなければならない」
実際、ジョーイは毎日、キレイな部分が少しずつ増えることにより、彼は自信がつき、このプロジェクトをやり抜こうという気持ちも強くなったといいます。
私もこれに習い、まずは小さな部分をキレイにすることから始めました。そして、そこには物を置かないことを決め、少しずつエリアを広げていきました。すると、劇的にとまではいきませんが以前に比べれば遙かにキレイな部屋となりました。
■小さな成功体験の積み重ねが自己効力感を上げる
では、どうして小さな成功を積み上げることが大事なのでしょうか。それは、その体験の積み重ねが自分は困難に上手く対処できるという感覚を養えるからです。
そうした感覚のことを心理学者アルバート・バンデューラ氏は自己効力感(self-efficacy)と名づけました。バンデューラ氏は目標や困難、課題を達成するには、そのための必要な行動ができるという感覚が大事だと提唱しています。
そして、その感覚を養う最も大事なポイントが、どんなに小さくても良いので成功体験を積むことです。片づけの例で言えば、まずは小さなスペースでもキレイにした成功体験を得るということですね。
もちろんこの考え方は他のことにも応用可能です。たとえば、腕立て伏せでも、最初は数回しかできなくてもその数回を確実にできるようになることで、やがてもっと回数をこなせるようになるでしょう。
つまり、たった数回のステップが大きな結果につながる種になるということです。
ですので、どれだけ小さな行動でも良いので始めていくことが大事です。その行動があなたが叶えたい夢を後押しする力となるはずです。
おわりに
いかがでしたか。ドイツでは「人生の半分は整理整頓」ということわざがあるそうです。
それほど整理整頓、片づけを重要視しているわけですが、やはり快適な空間を作り出せる力は自分だけでなく、家族や周りの人をも幸せにします。
今回ご紹介した方法を活用して快適な部屋を作るのはもちろん、人生を好転させる一歩となれば幸いです。
参考文献
『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』(ショーン・エイカー高橋由紀子訳 徳間書店)
『ゆほびかGORD vol.18』(ハーバード式幸福と成功を呼ぶ教室 33-50頁 2013年3月29日 マキノ出版)