こんにちは、健康心理アドバイザーの酒井悠次です。
皆さんは、日々の生活のなかでどんなことにストレスを感じたりしますか。「明日、大事な仕事があるのに緊張して眠れない」「職場の人間関係がつらい」「将来のことを考えると不安になる」というように誰しもが何らかのストレスを抱えているかと思います。
一般的にストレスというと悪いものだと捉えがちですが、ストレスは仕事のパフォーマンスを上げたり、自分を成長させてくれる要因にもなります。
生理学者のハンス・セリエは、作業効率やパフォーマンスの向上、問題を乗り越えるために自分の力を発揮するストレスのことを良いストレス「ユーストレス」。逆に過剰なストレスを感じてしまい、問題を乗り越える力を奪うストレスを悪いストレス「ディストレス」と表現しました。
つまり、ストレスにも良い悪いがあり、ストレスを感じる方が良いパフォーマンスができる場合もあります。
たとえば、精神科医の樺沢紫苑さんは「適度なストレスは、脳の働きを活性化し、集中力を研ぎ澄まし、記憶力を高める」ことを述べられています。
また、緊張や不安、心配などストレスを感じることは、それだけその問題に真摯に捉えている証拠でもあります。
ですので、ストレスを感じることに恐れを抱かないで下さい。むしろ、そのストレスがあなたの成長につながるかも知れません。
とはいえ、そうはいってもストレスをコントロールするのは難しいものです。なぜなら、ストレスは明確に目に見えるものではないからです。
「あなたのストレスの原因は〇〇です。だから、〇〇という対策をして下さい。」となれば楽なのですが、そうはいきません。また、ストレスの感じ方には個人差があり、その対処法も個人によって合う、合わないものがあります。
ストレスを上手く対処することをストレスコーピングと言いますが、普段から自分なりのストレス対処法を考えておくことがストレスと上手につき合える第一歩となります。
ストレス対処法には
・身体を動かし、気分転換をする
・映画鑑賞や読書をする
・信頼できる専門家、人に相談する
・書籍やネットで役立ちそうな情報を集める
等など、様々なものがありますので自分に合うものを試すのが良いですね。
そして、私が最も大事にしていることを皆さんにシェアします。それはストレス対処法を手順化にまとめておくことです。
どうして手順化にするのが良いのかと言うと、前もって何をどうするか決めておけば、いざ強いストレスを感じた時に慌てたり、迷う必要がないからです。
やはり、強いストレス状態であればあるほどパニックになり、何をすればいいのか分からなくなります。ですので、予め手順化しておくことが大事になります。また、その手順に慣れれば車の運転をするように無意識で行えるのも大きな利点です。
私が普段、行っているストレス対処法の手順をまとめるとこんな感じになります。
ステップ①:深呼吸をする。
強いストレスを感じているときは焦り、パニックになります。そうした状態では冷静な考えができません。
ですので、まずは深呼吸をして心を落ち着かせます。息を吸う、吐くことに集中することで自然とリラックスできるようになります。
ステップ②:今、困っていること、悩みや不安、ストレスに感じていることを書きだす。
このコラムのなかで何度もお伝えしていますが、書くことは大事です。なぜなら、書くことによって頭の中で抱えていることを吐き出せるからです。また、言語化することで解決策も見つけやすくなります。
ステップ③:そのストレスを放置することで起きるリスク、デメリットを書きだす。
ステップ②で書きだした問題を後回しにしておくことで生じるリスク、デメリットを把握します。
病気でも早期発見が大事なのは言うまでもありませんが、ストレスの原因も大きくなり過ぎると解決が難しくなります。
ですので、放置することのリスク、デメリットを意識するためにもこのステップは重要です。
ステップ④:そのストレスから得られる有意義な意味や目的、メリットを書きだす。
ステップ④は、ストレスを力に変える大切なステップです。抱えているストレスが与えてくれるポジティブな意味、目的、メリットを考えて下さい。また、そのストレスを乗り越えることで得られることも考えます。
面白いもので物の見方を変えることで、苦痛に感じていたストレスがモチベーションアップ、行動力を高めるきっかけにつながります。
ステップ⑤:対策案、行動リストを書きだす。
最後のステップでは、ストレス解決に役立ちそうな対策案、行動リストを書きだします。ここでのポイントは、思いつくままに書きだすことです。突拍子のないことでも、小さなことでも構いません。
ある程度、出尽くしたら、すぐに実行できるようTODOリストにまとめると便利です。ストレスは行動することで和らぎますので、どんなに簡単な行動でも良いので実行に移すことが重要です。
おわりに
古代ギリシアの哲学者、エピクテトスは「何が起こるかが問題なのではない。それにどう対処するかが問題なのだ。」と述べています。
これはストレスへの対処法においても同様です。その対処法が暴飲暴食、喫煙、ギャンブルなどでは健康を害してしまいます。
ですが、ストレスコーピング、ストレスへの対処法を意識することで、ストレスと上手くつき合える行動がとれるようになります。
ぜひ、自分に適したストレス対処法を身につけ、あなたのストレスをパフォーマンス向上、成長へとつなげて下さい。
参考文献
『ストレスと健康』(斎藤和雄 研究情報ひろば 栄養学 雑誌 Vol.49No.6331~333(1991)
『精神科医が教えるストレスフリー超大全』(樺沢紫苑 ダイヤモンド社)
『健康になる技術大全』(林英恵 ダイヤモンド社)