こんにちは、健康心理アドバイザーの酒井悠次です。
先日、周防正行監督の映画【Shall We ダンス?(1996年)】を観ていました。
役所広司さん演じる主人公のサラリーマン杉山が社交ダンス教室に通うことで様々な出来事、人間模様が繰り広げられていくのですが、とても面白かったですね。
個人的に私が良いなと思った所は、杉山がこれまで自分の人生と全く縁がなかった社交ダンスという世界に飛び込んだことです。
というのも、人間は知らない世界に入る、新しいことに挑戦することに恐怖、警戒をする生き物です。
なので、杉山のように未知の世界に飛び込むことはとても素晴らしいことだと感じました。
まぁ、そのきっかけになった理由には賛否両論あると思いますが、そこがこの映画の大きなポイントなのでしょうがありません。
さて、よく自己啓発書では自分にとって居心地の良い快適な心理的領域をコンフォートゾーンと呼んでいます。
たとえば、慣れ親しんだ行きつけの飲み屋と初めて行く飲み屋では居心地の良さが違うと思います。
実はこのコンフォートゾーンですが、この自分にとって快適な領域の外側に出ることで新しい可能性や自己成長、楽しみ、生きがいに繋がることがあります。
たとえば、Shall We ダンス?の杉山はこれまでダンスなどしたことはありません。もちろん最初は上手く踊れません。ですが、練習を重ねるごとに上手くなり、ダンスの楽しさに気づいていきます。それだけでなく日々の仕事、生活をイキイキと過ごすようにもなります。
彼はダンスという未知の世界、自分のコンフォートゾーンの外に出ることに挑戦したことで、これらの結果を得ることができました。
確かに自分にとって慣れ親しんだコンフォートゾーンの内側は快適です。ですが、杉山のようにコンフォートゾーンの外に出ることで思わぬ幸福に恵まれることがあります。
とはいうものの、コンフォートゾーンの外に出るにはどうすればいいのでしょうか。
私のおすすめは趣味を持つということです。それも自分が全く知らないジャンルの趣味が良いですね。
どうして知らないジャンルの趣味が良いのかと言うと、それは成長の伸びしろが大きいこと、新たな可能性や発見、そして未知の世界に挑戦したという自信に繋がるからです。
たとえば、杉山が社交ダンスに挑戦したような場合がそうです。たとえ、初めてダンスをしたとしても、練習を重ねていく中で昨日、出来なかったことが突然、出来るようになったりします。
そうした成長の体験はきっと自分の人生に潤いを与えるでしょう。
運動が苦手な人がスポーツに挑戦する、楽器など全く弾けない人がギターに挑戦するのも良いかと思います。
もちろん、その趣味が楽しくなければ止めればいいだけです。自分が楽しめる趣味をやるのが一番ですからね。
ですので、臆することなく気軽な気持ちで挑戦してみてください。その挑戦があなたのコンフォートゾーンを飛びだす良いきっかけとなるはずです。
おわりに
いかがでしたか、最後に面白い心理実験の研究をご紹介します。
1979年、ハーバード大学のエレン・ランガー教授は75歳の男性たちに1週間の合宿所生活をしてもらいました。
その時、男性たちには「この1週間は1959年だと思ってください」と伝えて暮らしてもらい、家の中には新聞や雑誌、家具なども20年前のものを設置しました。
さらに、被験者たちには当時の服が用意され、その頃のような言動を採るようにしてもらい、それぞれが55歳のときの写真が入った身分証まで配られました。
その1週間後、驚くべき結果が出ました。ほとんどの参加者の体力、認知能力、記憶力などが合宿前に比べて改善され、視力の改善や見た目の印象も若く見える結果が得られたそうです。
どうしてこのような結果が得られたのでしょうか。
それは参加者たちが、その年齢に合ったコンフォートゾーンで過ごすのではなく、今の自分より遙かに若い生活を送るという自分のコンフォートゾーンの外に出たからだと私は思います。
コンフォートゾーンの外に出ることは、自分の可能性を引き出します。
メジャーリーガーの大谷翔平選手は、絶対に不可能と思われていた投手と野手の二刀流に挑戦し、圧倒的なパフォーマンスを私たちに見せてくれました。
大谷選手は投手か野手のどちらかを選ばないといけないコンフォートゾーンから抜け出したのです。
大谷選手とまではいかなくても、ほんのちょっと自分のコンフォートゾーンの外に出て、新しいことに挑戦することはそう難しいことではありません。
その第一歩として未知のジャンルの趣味に挑戦する、その趣味を楽しむことは人生を豊かにする良いスパイスになりますよ。
参考文献
Shall We ダンス?(1996)監督:周防正行,主演:役所広司
『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』(ショーン・エイカー高橋由紀子訳 徳間書店)