こんにちは、健康心理アドバイザーの酒井悠次です。
「病は気から」ということわざがありますよね。「病気は気持ちの持ちようで良くも悪くもなる」という意味です。
漫画家の小林まことさんは20歳の頃、40℃を超える高熱で寝込んでいた際に新人賞を受賞した連絡をもらい、嬉しさのあまり一瞬で平熱に戻った逸話があるそうです。
第2回目のコラム『感情と健康との関係性について』の中でもお伝えしましたが、私たちが持っている感情、気持ちが健康や身体に影響することは多くの研究からも示されています。
感情自体に良い、悪いはありません。ですが、その感情が自分を苦しめる、追いつめるものであれば少しでも軽くしたいですよね。
このコラムでは、これまでにも不安な気持ちを和らげる、心を回復させるワークをお伝えしてきました。主に書くことを中心としたものでしたが、今回は読む、観る、聴くといったインプットが中心の方法をご紹介します。
その方法とは、物語の世界に触れるというものです。物語の世界に触れるとは、つまり映画や小説、アニメ、漫画などのエンターテイメント作品を鑑賞して、その作品が作りだす世界観を味わうことを指します。
どうして物語の世界に触れることが良いのか。それは、ギリシャの哲学者アリストテレスが提唱したカタルシス、精神の浄化が生まれるからです。
アリストテレスは、著書『詩学』の中で、悲劇を観ることで「心の中に溜まっていた澱(おり)のような感情が開放され、気持ちが浄化される」効果があることを述べています。
日本語でも心が洗われたという表現がありますが、映画や小説に感動して涙を流し、清々しい気持ちになった経験はないでしょうか。
私自身、映画や小説が好きなのですが、やはり泣ける作品を観た後は気持ちがすっきりしますね。
『脳からストレスを消す技術 セロトニンと涙が人生を変える』(サンマーク出版)の著者である有田秀穂さんは、感動する涙を流すことで、➀ストレスを軽減する。②自律神経のバランスを整える。③免疫システムを活性化させることの効果を指摘しています。
映画や小説、アニメ、漫画といったエンターテイメント作品には主人公、登場人物たちの物語が魅力的に描かれています。
主人公の挫折や失敗、決断、旅立ち、困難からの再生など感動的に描かれているので、感情移入もしやすくなります。
そして、その感情を味わい、感動の涙を流すことで自然と気持ちも軽くなります。私自身の実感からも、物語には心を癒す効果が本当に大きいと感じています。
これまで私が感動した作品を下記にまとめてあるので、参考にしてみてください。それでは本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
〈映画〉
『ペーパー・ムーン』(1973年 監督:ピーター・ボグダノヴィッチ)
『八日目』(1996年 監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル)
『マイ・フレンド・メモリー』(1998年 監督:ピーター・チェルソム)
『十五才 学校Ⅳ』(2000年 監督:山田洋次)
『アイ・アム・サム』(2001年 監督:ジェシー・ネルソン)
〈小説〉
『いちご同盟』(1990年 著者:三田誠広)
『白夜行』(1999年 著者:東野圭吾)
『壬生義士伝』(2000年 著者:浅田次郎)
『砂漠』(2005年 著者:井坂幸太郎)
『1/2の騎士』(2010年 著者:初野晴)
『アット・ホーム』(2010年 著者:本多孝好)
〈漫画〉
『SLAMDUNK(スラムダンク)』(1990年~1996年 著者:井上雄彦
『道士郎でござる』(2013年~2014年 著者:西森博之)
参考文献
『青春少年マガジン1978〜1983』(小林まこと 週刊少年マガジン講談社)
『学びを結果に変えるアウトプット大全』(樺沢紫苑 サンクチュアリ出版)
『脳からストレスを消す技術 セロトニンと涙が人生を変える』(有田秀穂 サンマーク出版)