こんにちは、健康心理アドバイザーの酒井悠次です。
ベルギーの詩人、劇作家のモーリス・メーテルリンクの童話『青い鳥』をご存じでしょうか。
チルチルとミチル。ふたりの幼い兄弟が幸せの青い鳥を探しに旅に出るのですが、残念ながら青い鳥は見つけられませんでした。
ですが、青い鳥は意外な所にいました。ふたりの家で飼っていたハトが探していた青い鳥だったというお話しです。
この物語では幸せは遠くにあるのではなく、自分のすぐ目の前にあることを教えてくれます。
青い鳥症候群という言葉がありますが、理想を追いすぎるあまり、目の前にある現実を捉えられないのは非常にもったいないことです。
なぜなら、自分を幸せにしてくれるものがすぐ側にあるからです。
そして、それに気づくことで自分の可能性が広がり、仕事や人間関係を良好にしたり、目標を叶える力にもなります。
ポジティブ心理学の第一人者であり、ハーバード大学の講師を務めたショーン・エイカー氏。エイカー氏は数々の研究データから「今、幸福感を感じられるかどうかで、その人の将来の成功確率が変わる」ことを提唱しています。
つまり成功するから幸せになるのではなく、幸せだと感じる気持ちが成功を呼ぶということですね。
エイカー氏の研究によれば幸福感が高まることで、脳の機能が高まり、創造力や生産性の向上、ポジティブな情動が生まれることが分かったそうです。
ではどうしたら今、そこにある幸せに気づくことができるのでしょうか。
エイカー氏はそのための方法を自身の著書『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』にまとめました。
詳しくは本書を読んでほしいのですが、今日は7つの法則の1つであるソーシャルへの投資をご紹介します。
■豊かな人間関係が幸福感をもたらす
ソーシャルへの投資とは人間関係への投資のことを言います。エイカー氏は人間関係が最高の資産だということを本書で紹介しています。
それは良好な人間関係が私たちの幸福感に直接的な影響を与えるからです。
人間の幸福感について長年、研究してきた心理学者ジョージ・バイヤン氏は「七〇年間に及ぶ研究の結果、周囲の人との関係が何にもまして重要であることが実証された」と述べています。
家族や職場、学校や地域コミュニティといった信頼できる人々との絆、つながりは精神的な支えとなり、ストレスの軽減や人生のさまざまな側面で助けになります。
家族の笑顔を見たり、元気な姿を見ているだけも幸せを感じたりしますよね。
IT企業のグーグルは職場の人間関係を深めるためカフェテリアの設置や社内託児所を充実させているそうです。
こうした良好な人間関係を育み、他人に対する支援を通じて、自己の幸福感や満足感が向上して、ポジティブな感情、有意義な体験が生まれます。
その結果、心や身体の健康にもプラスに働き、自己成長や目標達成にも良い影響を与えてくれます。
■相手を思いやる感謝の言葉を忘れない
とはいえ、そうは言われてもどうすればいいのか迷うと思います。人間関係への投資という言葉も堅苦しいですしね。
ですがそんなに難しく考える必要はありません。
まずは、あなたの家族や職場、友人たちに向けて「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えることから始めてはどうでしょうか。
感謝の言葉には相手を思いやる心、大事にしている気持ちが込もっています。「ありがとう」と言われると不思議と気分が良く良くなりませんか。ですので、少し気恥ずかしくても感謝の言葉を伝えることを忘れないで下さい。
また「頑張った」「良かった」と肯定的な言葉を掛けてみたり、自分のできる範囲でいいので手助けをすることもおすすめです。
私の好きな言葉に「小さく始めて大きく育てる」という言葉があります。ほんのちょっとした行動からで良いのでまずは始めてみることが大切です。
そうした一つ一つの積み重ねが豊かな人間関係を築く第一歩となるはずです。
おわりに
プロスポーツ選手がインタビューを受ける際、家族やコーチ、チームメイトに感謝の言葉を伝えることがあります。
それは自分の力だけではなく周りの人たちのサポートがあったからこそ結果が出せた、パフォーマンスを発揮できたことを理解しているからです。
豊かな人間関係は自分の可能性を広げます。また、挫折や失敗、困難からの回復を助けてくれます。
そんな人間関係を築くためにも、まずは自分から周りの人たちに感謝の言葉を伝えていくことを忘れないで下さいね。
参考文献
『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』(ショーン・エイカー高橋由紀子訳 徳間書店)
『ゆほびかGORD vol.18』(ハーバード式幸福と成功を呼ぶ教室 33-50頁 2013年3月29日 マキノ出版)